学校から出される夏休みの課題の一つ、「人権作文」。
「何を書いたらいいのか分からない」
「書き方が分からない。教えて!」
そんな生徒さんたちからのSOSを受け、本日、大育進学センターでは初めてとなる「人権作文講座」を開催しました。
(今までは「読書感想文講座」を実施していました)
1,AIで作文も書ける時代だからこそ
今は、AIを使えば作文の文章を作ってくれます。
テーマを入力して、
「中学生らしい作文を書いて」
とお願いすれば、それらしい文章があっという間に出来上がります。
でも、それで宿題を終わらせてしまったら、「自分で考え、自分の言葉で表現する機会」を一つ逃してしまうことになります。
読んだり書いたりする機会が少なくなっている今だからこそ、作文に取り組む時間も貴重なのではないでしょうか。
「自分はどう思うのか」
「なぜ、そう思うのか」
「自分は、これからどうしていくつもりなのか」
一つひとつ自分で考え、それを自分の言葉でまとめて伝える力を身につけてほしい!
そんな思いも込めて、今回の「人権作文講座」を開催しました。
2,「人の権利」と「わがまま」は何が違う?
今回の講座では、いきなり原稿用紙に作文を書き始めるのではなく、
「そもそも、人権って何だろう?」
というところから一緒に考えていきました。
「人権=人が持っている権利」
言葉にすると簡単ですが、では、
「自分の権利を主張すること」と
「自分のわがままを通すこと」は、何が違うのでしょうか。
自分には権利がある。
相手にも同じように権利がある。
人と人が一緒に生活している以上、「自分だけ」の視点ではなく、「相手はどう感じるだろう?」という視点も必要になります。
今回の講座では、こうした人権についての基本的な考え方からスタートしました。
3,人権問題は、特別な場所にあるものではありません
「人権問題」と聞くと、とても大きく難しい問題を想像する生徒もいます。
でも、実際には私たちの身近なところにも、人権について考える場面はたくさんあります。
友達との何気ない会話。
学校での出来事。
SNSでのやり取り。
誰かが笑われていた場面。
自分が言われて嫌だった一言。
逆に、自分が何気なく誰かに言ってしまった言葉。
誰かが「つらい」「悲しい」「嫌だ」と感じたとき、その背景には、人として大切にされる権利が傷つけられている可能性があります。
今回は、遠くにある大きな問題を探すのではなく、自分自身の経験や身近な出来事に目を向けて書いていきました。
4,人権作文は「誰かを悪者にする作文」ではない
人権作文というと、
「いじめはいけない」
「差別をする人は悪い」
といった結論を書こうとしてしまいがちです。
もちろん、いじめや差別について考えることは大切です。
しかし、人権作文は「誰かを裁く作文」ではありません。
大切なのは、
「その出来事を通して、自分は何を感じ、何に気づき、これからどうしていきたいと思ったのか」
という、自分自身への問いです。
今回の講座では、これまでの経験を振り返りながら、
「自分が嫌だったこと」
「誰かが嫌な思いをしているのを見たこと」
「自分の言動で、もしかすると誰かを傷つけてしまったかもしれないこと」
などを一人ひとり挙げてもらいました。
そして、その中から作文のテーマを決め、
「そのとき何があった?」
「自分はどう感じた?」
「相手はどう感じていたと思う?」
「今振り返ると、どう思う?」
「これから自分はどうする?」
と、一つひとつ掘り下げながら作文を組み立てていきました。
5,「ワークシートに沿えば書ける」でも、簡単ではありません
今回の講座では、当塾で用意した「人権作文ワークシート」を使って進めていきました。
人権について考えるところから始まり、テーマを決め、自分の経験を振り返り、そのときの気持ちや気づきを掘り下げていく。
そして最後は、それまでに書き出した内容を順番に文章にしていく。
ワークシートに沿って一つひとつ考えていけば、作文が出来上がる!
そんな構成にしています。
とはいえ、「人権」は中学生にとって普段から考え慣れているテーマではありません。
ワークシートがあるからといって、スラスラと考えが出てくるわけではありません。
「そんなこと、あったかな……」
「そのとき、どう思ったんだろう……」
「これをどうやって言葉にしたらいいんだろう……」
自分の経験を一生懸命思い出しながら、時には言葉に詰まり、考え込む姿もありました。
普段授業は、先生の説明を聞いたり、問題を解いたり、答え合わせをしたりと、活発に会話が飛び交っています。
しかし、今日の教室は少し違いました。
自分で考える時間。 自分の気持ちを言葉にする時間。 そして、それを文章として書く時間。
教室には静かな時間が流れていました。
「なかなか言葉が出てこない時間」も、今回の講座では大切な時間でした。
自分なりに考え、言葉を探してみるー
作文を完成させることだけではなく、普段できない経験そのものにも意味があります。
6,作文を書くことは、「考えること」
中学生にとって「人権」は、決して簡単なテーマではありません。
だからこそ、この夏休みの課題をきっかけに、一度立ち止まり、自分自身や周囲の人について考えてみることにも意味があると思っています。
今回の講座で大切にしたことは、作文を上手に仕上げることではありません。
自分の経験を振り返る。 なぜそう思ったのかを考える。 相手の立場からも考えてみる。 自分の考えを整理する。 そして、それを言葉にする。
作文を書くという作業には、こうした「考える力」が必要です。
普段の数学や英語とは少し違う「学習」ですが、ここで培う「自分の考えを整理し、相手に伝わるように言葉にする力」は、これから先、さまざまな場面で必要になります。
高校入試での作文や小論文、志望理由書、面接。
さらに高校・大学でのレポートや論述、社会に出てからの企画書や報告書など、その力を求められる場面は多岐にわたります。
AIが文章を作ってくれる時代になったからこそ、文章を作る技術だけではなく、「自分は何を伝えたいのか」「なぜそう考えるのか」を自分自身で考えられる力が、より大切になっていくのではないでしょうか。
今回の「人権作文講座」が、夏休みの宿題を一つ終わらせるだけではなく、自分自身の経験を振り返り、周囲の人の気持ちを考え、それを自分の言葉で表現する機会になったのではないかと思います。
受講生の声
・作文の書き方が分かった
・ワークシートに書いてからやったからわかりやすかった
・また受けたいと思った
みんなよく頑張ってくれました。
7,大育進学センターから
塾というと、「問題の解き方を教える場所」「成績を上げる場所」というイメージがあるかもしれません。
もちろん、それも私たちの大切な役割です。
でも、子どもたちがこれから成長していく中で必要になるのは、教えてもらったことを覚える力だけではありません。
分からないことに出会ったときに、自分で考えること。
自分なりの答えを探すこと。
そして、自分の考えを自分の言葉で相手に伝えること。
すぐに答えが出なくても、悩みながら、考えながら、一つずつ自分の言葉を見つけていく。
私たちは、そんな時間も子どもたちの成長にとって大切な「学び」だと考えています。
これからも大育進学センターでは、目の前の問題を解けるようにするだけではなく、子どもたちがその先でも使える力を育てる指導を大切にしていきます。

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